【小学校から女子校?】女子校育ちの私が、小学校受験で女子校を選ばなかった理由

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小学校受験を考えるとき、学校選びのポイントの一つに「女子校か共学か」という大きな違いがあります。

私自身は小中高一貫の女子校出身でした。異性の目を気にせず、自分のペースで学び、のびのびと学校生活を送れたあの時間は、今でも大切な思い出として残っています。

でも、実際にわが子の受験先を選ぶ時には、女子校ではなく「共学」を選びました。

この記事では、女子校のメリットを十分理解している立場で、それでも共学を選んだ理由を、わが家の価値観・子どもの性格・これからの社会を見据えた視点から、率直にお話ししたいと思います。

女子校出身の私が、子どもの小学校受験で“女子校”を選ばなかった理由

小中高と女子校で育ってきた私。女子校には、たしかにたくさんの魅力があります。

たとえば、異性の目を気にせず、自分の個性や才能を自由に伸ばせる環境。思春期の繊細な時期に、同性だけの関係性の中で安心して過ごせること。周囲に頼るよりも自分でやってみる力が育つこと。さらには、女子にとって最適化された教育が受けられるという点でも、女子校は非常に魅力的です。

でも、わが家の子どもは、女子のみの小学校は受験しませんでした。

あえて、というより、自然と「今は共学だな」と思ったのです。

子どもが「できれば共学がいい」と言った

いちばん大切にしたのは、子ども自身の考えです。

もちろん、まだ5〜6歳という年齢では、その判断が一時的なものになる可能性もあります。でも、「自分で選んだ」という感覚は、小さな自信や納得感につながると信じています。だからこそ、私たちは子どもの言葉にしっかり耳を傾けたいと思いました。

わが子は幼稚園でも、男女問わず友達と仲良く遊ぶタイプです。なかでも特に仲が良いのは女の子でしたが、日々の会話に男の子の名前もよく登場していました。そんな様子を見ていたので、小学校についても「男女どちらもいる学校と、女の子だけの学校だったら、どっちがいい?」と聞いてみたところ、「男の子も女の子もいる学校のほうがいいな」と答えていました。

日常の中で自然に異性と関わっているわが子にとって、女子だけの環境は少し窮屈に感じられるかもしれない──そんな思いがよぎったのも事実です。

もちろん、女子だけの環境だからこそのびのびと自分を表現できる子もいるでしょうし、それもまた素晴らしい選択肢だと思います。ただ、わが家にとっては、子どもの素直な気持ちを尊重することが何より大事でした。

ダイバーシティ(多様性)を自然に体感してほしい

今の社会では、多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、違う価値観とどう向き合っていくかが問われています。異なる視点を持つ人と接する中でこそ、学びは深まると感じています。

男女の違いだけでなく、性格や価値観、背景の異なる人たちと関わること。その小さな第一歩として、日常の中に“多様な存在”がいる学校という場を選びたいと思いました。

もちろん、女子校に通いながらも習い事や地域活動で異性と接点を持つことは可能です。

でも、わが家ではそこを意識的に設計していく自信があまりなく、学校そのものが「小さな社会」であってくれたほうが自然だと考えました。

女子校の「きめ細やかな教育」は魅力。でも、そこまで求めていない

女子校の魅力のひとつは、やはり先生方が女子の特性を熟知し、きめ細やかに対応してくださるところ。気遣いやサポートが行き届いた環境で育つことは、大きな安心材料になると思います。

でも、わが家ではそこまで手厚いサポートを求めていませんでした。むしろ、小さなつまずきや摩擦があっても、それを自分なりに乗り越えるような「雑草魂」を育てたい。

だから、「先生がよく見てくれるから安心」という環境よりも、「自分で切り抜けていく経験ができる環境」のほうが、今の子どもには合っていると感じたのです。

ジェンダー観の変化と、子どもへの期待

「女子校は女性を強くする」「リーダーシップを育む」「理系進学に強い」──そんな言葉をよく耳にします。たしかに、女子校は女性が自分らしく力を伸ばしやすい環境でもあり、私自身もその恩恵を感じてきました。

でも今、親として子どもに望むのは、「強い女性」になることだけではありません。多様な視点をもち、相手の立場を想像しながら行動できる人になってほしい。だからこそ、日々の読書や対話に加えて、新聞などを通じて世の中のニュースに触れることも大切にしています。

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もちろん、男性優位な社会の中で女性が生きづらさを感じる現実はあります。でも一方で、男性もまた「男らしさ」を求められる中で、自分を押し殺しながら生きていることがあります。社会的期待の中で、男性もまた無理や競争を強いられている面もあると思うのです。

私は、こうした“生きづらさ”の根っこにある問題を、性別を超えて共有し、対話できる人に育ってほしいと願っています。誰かより「強くなる」「優秀になる」ことを目指すのではなく、自分の目で現実を見て、感じて、考えて、その違和感を言葉にできる。対話を通じて他者と理解を深めていく──そんな人になってほしい。

そのためには、性別で分けられた安心な世界だけでなく、さまざまな価値観が交差する場で、小さな気づきや摩擦を経験しながら、少しずつ人間関係を学んでいく必要があると思ったのです。そして、私たちは学校を「勉強をする場所」以上に、人間関係や立ち振る舞いを学ぶ「小さな社会」だと捉えています。その中で、さまざまな性別や価値観を持つ友達と自然に関わる日常は、子どもにとって大きな学びの場になるはずです。

もちろん、女子校の“セミオーダーメイド”のような丁寧な教育には魅力があります。実際、女子だけの環境で安心して学び、自分らしさをのびのび発揮できる子もいるでしょう。でも、わが家が望んだのは、子どもが「社会の中でどう生きていくか」を自分で試行錯誤できる環境でした。

共に学び、共に考える。「男の子」と「女の子」ではなく、「人」として向き合いながら育っていってほしい──そんな思いで、共学のみを受験しました。

最後に──「今」の選択を、しなやかに

中学や高校に進むころには、子ども自身の意思や価値観も今以上に明確になってくるでしょう。もしそのとき、本人が女子校を望み、その理由に納得できるのであれば、私たちはきっと外部進学という選択も応援すると思います。

今回、わが家が共学の小学校を選んだのは、「今のわが子にとって、自然な環境だと感じたから」というだけのこと。女子校か共学か、どちらが優れているという話ではなく、その時々の子どもと家族にとって“しっくりくる選択”をしていけばいいのだと思っています。

子どもには子どもの人生があります。どんな環境であっても、しなやかに、たくましく、自分の足で歩んでいけるように──そんなふうに、これからも子どもの選択を尊重しながら、親として見守っていきたいと思います。

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